
"self-esteem"とは「自分は自分でいいのだ」という、自己の錨または心の軸のことを言います。
この英語 self-esteem は high/low で形容されるので、『自己であることへの満足度』とか『自己肯定感』と捉えてください。幼少期に親に愛されなかった子や、否定ばかりされて育った子、いつも他人と比べられて育った子、条件付の愛で育った子は、self-esteemが低い大人になっていきます。「あなたはあなたのままで素敵な個人なのですよ」という承認が得られず、自己そのものに対する自信を発達し辛くしてしまうのです。
それとは逆に、親との信頼関係がしっかりし、甘やかしもなく、自分の存在価値を脅かされることなく育った子は、self-esteemが高い大人になります(Ainsworth)。
self-esteemの高低に影響を及ぼすのは親との関係だけではありません。例えば、学校でいじめにあったり、先生に皆の前で注意点ばかり指摘・批判・否定されたりすることもself-esteemを傷付けることになってしまいます。
集団主義文化下では珍しくないことなのですが、日本の教育のコアと言ってもいい特色に、辱めを通して行動を改めさせる・学ばせるということがあげられます。これは自尊心をこてんぱちんにしてしまうものなので、自己に対する好意だったり、ずっしりとした自信だったりを感じられない人の人口を増やします。これはストレスにもつながりますが、最近の研究では、脳にダメージを与え得ると発表されています(Otten & Jonas, 2014)
「自分は自分でいいのだ」と思えることは、心の奥底に安定感を築くものです。ですから、表面で他人に対し「自分には価値があるのだ」と振舞うことでもありません。むしろ、self-esteemが高い人は自己を誇大化する必要を感じず、また、過少評価することもないのです。
self-esteemが低いと人間関係で問題を抱えがちになります(育ちは恋愛の仕方に影響する参照)。おこりんぼうも引き起こしてしまいます。また、いじめへの関与も増えますし、犯罪者の多くは低い自尊心を有します。
更に、低いself-esteemは鬱・アルコール含む薬物依存症・強迫性障害・摂食障害などの精神障害とも関係が認められています。
ということは・・・self-esteemは大事にしようとしない方が問題で、大事にしようとすることは心身の健康管理です。次のページで向上のポイントを見てみます。
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