こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

Development 成長と変化

Written by on


Through Age 0 to 12 - 誕生~12歳 -
受精~出産
各ポストをご参照ください。
→ 着床に至るまで
→ 命の始まり
→ 男女性別の決定

誕生~2歳
無事に誕生してから2歳まででは、目や耳から入ってくる世界を情報処理していきます。そして、犬は「ワンワン」、「お風呂」と言われれば水浴びの時間など物事に対する観念=schemaを学んでいきます(Piajet)。人間関係についての観念も母親との関係を通して学んでいきます(Ainsworth)。言語表現能力も発達し、12ヶ月で一語を発するようになり、21ヶ月で二語を発することができるようになります。人見知りは6~14ヶ月で見られ、9~14ヶ月では親が離れると不安を表します。18ヶ月で自分は自分であるようだ・・・という認識(self-awareness)を確立します。

2~6歳
Piajetの言うpreoperational stageの期です。まだ一辺倒の考え(centration)しかできないので、叱っても言い訳をするようなことはありません。この時期の後期では嘘を付く行為が見始められることもありますが、すぐバレるような可愛いものです。まだファンタジーと現実の区別が付かない時期で、尚かつ目から入る情報に敏感であるため絵本や映像の影響を強く受けます。 更に世界の理解を深めるのに、行動や思考のモデルを必要とします(Vygotsky)。得た知識をもとに「ごっこ遊び」が始まります。ごっこ遊びでは他人との触れ合いが始まるわけですが、鬼ごっこやレスリングなどの遊びでは自己のコントロール力や感情の規制力を身につけます。叩きすぎたら痛いとか加減を学ぶことは、自分がエキサイトしすぎなことを自覚することです。

6~12歳
6歳になってやっと目の発達の第一ステージが完了します。通常6歳までは子どもは遠視なので、近いものがみえずらいことになります。一年生で使われる学校の教科書の文字が大きいのはこのためです。歯も乳歯から永久歯への抜け替わりを完了します。認知的能力も目覚ましく成長します。
12歳までの成長については、この他多くの特徴がありますのでポストの方でそれぞれ取り上げることに致します。


Adolescent - Age 12 to 18 - 思春期 12歳~18歳 -
思春期。自立心が急速に育ち、社会的・心理的・肉体的に子どもから大人へ変身していく過程を経験する時期です。The Selfのページで詳しく説明されますが、自己のアイデンティティーに対する芽生えは周りと自分を比べることへと個人を導きます。その結果、劣等感を抱いたり自己を厳しく評価したりする傾向がこの時期には顕著となります。また、自己の本意より周りの環境、特に友達関係の中で重視される行動になびかれます(conformity)。 11才頃から特殊な自己中心的思考(egocentrism)を見せ始めます。事実が伴う伴わないに限らず、皆が自分を見ていると感じたり(imaginary audience)、自分は優れていると過信したり(personal fable)、危険なことも周りには起こっても自分には怒らないという思考(invincibility fable)が特徴です。
心理的な発達では、Eriksonの言うように「自己とは」というアイデンティティーの確立を目指します。James Marciaはこの過程を4つに分けました。
Identity Statuses
Foreclosure ・・・ まだ個人は親や社会が良しとするモデルや価値などに疑問を持ったりしない段階
Diffusion ・・・ まだアイデンティティーについて理解がないか興味がない状態
Moratorium ・・・ アイデンティティー・クライシスを体験。自己の進む方向性やキャラの定着に悩む時期
Achievement ・・・ アイデンティティー・クライシスを乗り越え、自己の自己たるべきを獲得する


Young Adulthood - Age 18 to 40 - ヤングアダルト期 18歳~40歳 -
生殖機能が成熟し脳も完全な大人になることでこの期が始まります(脳の発達についてはHuman Brainのページを参照)。
この期の心理学は人間関係についてに焦点が当てられ、人の魅力恋愛対象としての魅力付き合いと問題などについて学習されます。それぞれは各ページを参照ください。


Middle Adulthood - Age 40 to 65 - 中年期 40歳~65歳 -
この年齢に入ると髪・肌や筋肉・骨に初期老化現象が見え始めます。感覚器官の働きも衰え始め、耳が遠くなったり老眼が始まります。
また性ホルモンのエストロゲン(女性)とテストステロン(男性)のレベルが減少し、男女ともに生殖機能における変換機を迎えます。女性では40台半ばから50台半ばの間に月経が停止します(menopause)。ほてり・冷や汗・気分の不安定さなどの問題は更年期障害とされ、ホルモン治療が可能ですが、乳癌や子宮癌、心臓病や脳梗塞などの副作用も懸念されています。エストロゲンは骨を強化するのにも使われるホルモンなのですが、このエストロゲンが減少するため、骨粗鬆症が心配されます。 男性はテストステロンの減少から、精子の数が減ったり、勃起しにくくなるという現象が現れ始めます。
認知的能力では短期記憶、語彙は年齢にそって上がります
心理社会的な特徴では、性格の変化が注目されます。Costa & McCreaによる5つの性格の変化は以下です。
 <Big Five personality traits>
  • 開放性(openness) ・・・ 下がる
  • 良心(conscientiousness) ・・・ 上がる
  • 外向性(extraversion) ・・・ 同じ
  • 人間としての丸み(agreeableness) ・・・ 上がる
  • 神経質さ(neuroticism) ・・・ 下がる
歳を重ねるにつれ男性と女性の見かけの区別がはっきりしてこなくなり、これをジェンダーコンヴァージェンス(gender convergence)と言います。


Late Adulthood - Over Age 65 - 老年期 65歳以上 -
身体的機能の低下が顕著になり、目では白内障、緑内障が現れることがあります。認知症では75%がアルツハイマー病によるものとされます。
自主性を実感できる環境を与えることが精神的にも身体的にもよい効果があるとされます(Langer & Rodin, 1976)。
また、『死』に関しては、安楽死あるいは自然死のどちらを尊重すべきか議論は止みません。私たちはどのように『死』というものを受け入れていくのか、Elizabeth Kubler-Rossは心理の移り変わりを5段階としました。
5段階とはいっても、これらが同時に起こったり、順序を行ったり来たりということもあります。また、このモデルは『死』だけに対しての心理ではなく、人との別れや何かに失敗したときなどに起こる強い負の感情にも働くものです。
① denial ・・・ 事実の否定あるいは現実逃避
② anger ・・・ だんだん腹が立ってくる
③ bargaining ・・・ どうにか事実が変わらないか神(など)と交渉
④ depression ・・・ 絶望感を味わう
⑤ acceptance ・・・ 事実を受け入れる態度が育つ


参考:Developing Person Through The Lifespan, Kathleen Stassen Berger 2011


Posts

Share this on... 
Page Top
Home


SPECIAL ISSUES