こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

社会不安障害

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人見知り、恥ずかしがり、緊張しやすい、などという特質について「私はそうではない」と否定できる人口の方がむしろ少ないかもしれません。
しかしその中でも、皆が言っている程度とは訳が違う、苦しみを抱える個人もいるのです。それは、恐怖症の記事で少し触れましたが、社会不安と呼ばれる障害です。
アメリカで発行されている Psychology Today という雑誌で社会不安によく見られる行動を分かりやすく記述したものがありましたので、それを参考に傾向をみていくことにします。

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恥ずかしい場面を想像してしまう:新しく誰かに出会う時や人の集まりに参加する時などでは、会話がうまく行かないのではないかとか、失礼なことを言ったりしてしまうのではないかとか、とても恥ずかしいことになる絵を想像してしまいます。自分が他の人の目に「変な人」と映るのではないかなどといった恐怖も感じることがあります。

2
ジャッジされる機会を避ける:「人から馬鹿だと思われる」「カッコ悪いと思われる」などの思考を抱いてしまいます。人から批難やジャッジ、もしくは否定・拒絶をされることに強い恐怖を感じるため、なるべくそういうった機会は避けるようになります。

3
決まった人とだけなら一緒にいられる:親友・親・兄弟・姉妹などの "いつものメンバー" と一緒にいる分には心が穏やかなのですが、その他の人との交流は不安に感じます。人が集まる所へ赴く時などは、誰か仲良しの人と行ってもらうと安心します。

4
緊張がバレていると恐れる:不安は身体的反応を起こすことが多く、赤面・手に汗・指の震え・呼吸の速さなどがおこります。これらによって自分の緊張が会議での発言や知人との会話などの場で人にバレているに違いないと思ってしまいます。

5
人前での発表ができない:社会不安は人前での発表に恐怖感を覚えます。あるいは中には人前で字を書くことや、人前で何かを食べるなどの行為に恐怖を持つ人もいます。電話で話すことに恐怖を感じる場合も多いです。

6
自分の社交性を批評してしまう:社会不安を持つ人は、社会的交流を分析することにたくさんの時間をかけます。人との会話を頭の中で何度も何度も繰り返して、徹底的に細かく起こったことを査定する作業をします。失敗や足りない部分に固執してしまい、自分の行いを厳しくジャッジします。(後ろ向き思考参照)

7
思い込みが働いてしまう:対面する人に対して「この人は私のことを好きなはずがない」という思い込みを抱えていると、引っ込んだ態度が "話し掛けないでオーラ" みたいなものを出します。するとその人は話掛けて来ないので、自分を好きではないという予想が本当のようになってしまいます。このような人を疑ってかかる行為が、結果として自分に人が寄り付かなくなる現象を起こしてしまいます。 (思い込みが本当になる仕組み参照)

冒頭でも申し上げたように、特に日本は緊張しやすい人が多いので、「自分はちょっとひどいだけだ」と思い込んで苦しみながら日々を送ってしまいがちです。きちんと話を分かってくれるお医者さんを探して、日常を過ごしやすくできるように治療を行ってください。不安を回避する術がない場合は、パニック症状を引き起こすこともあります。
お薬は通常、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方されます(セロトニンとは参照)。
書籍では私がかなり前に読んだものですが、不安抑うつ臨床研究会が監修している不安症の時代が分かりやすく説明されており、お薬の種類の一覧もあってよいと思います。リンクはAmazonです。

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参考:7 Things People Who Have Social Anxiety Do, Psychology Today, Retrieved on June 3 2016

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