心理学者Albert Banduraが1961年&1963年に行った有名な実験 "Bobo Doll Experiment" は、1930年代に花咲いた行動主義心理学の「人間が行動を学習する過程とは強化(reinforcement)こそなり」という主張に対抗した、学習は強化刺激がなくとも社会の中で認知を通して行われるという説 "social learning theory"(社会的学習理論)を確立するものとなりました。
social learning theory は具体的には、人間が行動を学習するのには他人(社会)の行為を見てお手本として真似て、結果自分のものとして体得していくという理論です。
大人が起き上がりこぼし人形をハンマーで殴ったり、グーパンチしたり、馬乗りになったりするなどの攻撃をします。
この映像を子供たちに見せた後、子供は大人がやったことと同じように起き上がりこぼし人形を扱ったというものです。
行動の学習は観察のみでも行われるという、observational learning(観察学習)の実証です。
ここでは physical aggression(身体的攻撃性)が学習されていくことが映し出されており、このことからこの実験が「暴力は他人が暴力的にしているのを見て学習、行使されていく」という主張を旨としているという捉え方をする学生もいるのですが、暴力・犯罪・戦争を包括する攻撃性の表現および行使の起因を、observational learning によるもののみとはできないことは明らかです。
しかしながら、誰かの行動を見て学ぶという特性を持つ私たちの認知能力を知る時、それが社会で生きる動物として身につけたものであることが分かり、従って良いも悪いも事物への反応は学習してしまうということです。
それを実際の行動に移す時には様々な素因が組み合わさるわけで、モチベーション の研究へとつながっていきます。
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