こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

Drug Use 薬物使用

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薬(drugs)とは定義が広く、医師の処方箋を必要としないキャベジンやベンザブロックやサンテFX目薬なども含まれるのはもちろんのこと、こと日本では健康維持や回復改善に良い食物も「薬だから」と表現されます。同時に、薬は医師から処方される特定の疾病用であったとしても副作用があったり、あるいは使用を間違えれば毒に変わってしまいます。
既に記述にありますコーヒーも drugs のうちに数えられるのは、これらが含む成分が脳の働きに影響を及ぼすためです。こういった、神経系に作用し意識や行動に変化を及ぼす物質を "psychoactive drugs"(サイコアクティブドラッグズ) と言い、日本語では『向精神薬』と訳されます。
日本人は薬の使い方の管理が上手なためか、他の国に比べると薬物問題が少なかったのですが、『脱法ハーブ』『危険ドラッグ』など段々とニュースで聞く機会が増えてきてしまいましたため、乱用や依存と深く関わる psychoactive drugs についてを少し説明します。psychoactive drugs=違法ドラッグに限る、ということではないので注意してください。ここに入りきらない分は各Postにおいてもう少し深く見ることにします。


Classes of Drugs - 分類 -
psychoactive drugsは構造や違法かそうでないかなど分類の仕方はいろいろあるのですが、ここでは作用の仕方によるグループ分けとし、代表的なものをリストにまとめます。

depressants ・・・ 抑制剤、中枢神経系(CNS)の活動をにぶらせることで身体的作用を抑えたり遅らせたりし感応性を減少させるもの
  • アルコール
  • バルビツール酸系 --- 俗称: downers、鎮静剤、麻酔剤
  • ベンゾジアゼピン --- 抗不安剤、抗てんかん剤、筋弛緩剤

stimulants ・・・ 興奮剤、中枢神経系(CNS)を刺激し活動性と感応性を増加させる
  • カフェイン
  • コカイン --- 俗名: coke/snow/lady、固まりになっているもの: crack/rock
  • アンフェタミン --- 俗名: speed、ADHD/ADD患者に処方される薬に使われる(米国のみ)がsmart pillsとして大学生に乱用される問題あり
  • メタアンフェタミン --- 俗名: ice/crystal meth、日本ではヒロポン

narcotics(opiates) ・・・ ケシの花から作られるもの、鎮痛剤や咳止めとして使用される
  • モルヒネ --- 癌患者の痛み止めとして使用される
  • ヘロイン --- 医療的用途も禁止される最も乱用の危険度が高い
  • コデイン --- ハイドロコドン/オキシコドンは主に米国で痛み止めとして処方される

hallucinogens ・・・ 幻覚剤
  • LSD --- 俗名: acid/cubes、アルコール依存症患者の治療として効果があるが違法
  • PCP --- 俗名: angel dusts/supergrass
  • メスカリン --- ペヨーテ(ネイティブアメリカン由来のサボテン)、マジックマッシュルーム(別名称: psilocybin mushroom、ワライ茸他)

marijuana ・・・ マリファナ/大麻、Cannabis(麻)から取れるTHC(delta-9-tetrahydrocannabinol)が有効成分、興奮剤・抑制剤・幻覚剤となる、米国では医療的用途(鎮痛剤や食欲増進剤としてなど)の場合のみいくつかの州で合法

nicotine ・・・ ニコチン、興奮剤として分類されることが多いが少量では弛緩剤として働くことがあることから抑制剤にもなる

これらの他、MDMA(俗名: ecstasy/molly)が幻覚剤に分類され得ますが、このMDMA の他、LSD (幻覚剤)・Rohypnol(ベンゾディアゼピン系催眠導入剤)・アンフェタミン系が若者の集まるクラブなどで乱用されることが多いことから、club drugs/designer drugs として認知されています。
尚、アスリートやボディビルダーが成績を向上させる目的で使用する上に出てきた興奮剤やステロイドは、performance-enhancing drugs(パフォーマンス強化ドラッグ)とされます。


Drug Abuse and Dependence - 薬物乱用と依存症 -
「やたらめったら使う」という意味で乱用と依存が同じであるとイメージされがちですが、きちんとした線が引かれます。
薬物乱用(drug abuse)とは社会的、心理的、身体的問題を発生するないし発生率を高くする使用法や服用量を伴う物質(処方箋を含む薬物)の使用のことを言います。
薬物依存症(drug/substance dependence)とは二つの要素から成り、身体的依存と精神的依存があります。
身体的依存は物質を繰り返し使用することにより耐性(tolerance)がついてしまい、物質が摂取されないと身体的機能が正常を保てなくなる(禁断症状が現れる)状態のことを言います。
精神的依存は物質への執着や渇望が見られ物質を欠くことへの不安や恐怖を抱える状態のことを言います。
薬物の種類により禁断症状を起こさないものから自殺を試みるほどひどいものまで違いがあります。


Understanding Risk Factors - リスクファクターの理解 -
人生を滅ぼすものだと分かっていながら人は何故薬物に手を出してしまうのか、リスクファクターは研究され続けます。
性格としては衝動性が高いほど薬物使用の確立が上がるということです(Vangsness, et al.)。この他、行為障害や反社会的性格障害などを抱える個人も薬物使用の確率が上がります。
若年期からの傾向としては、ビールやワインなどから始まり、アルコール度数の高いものとタバコ、マリファナ、その他の薬物へと移行していくことが指摘されています(Kandel & Faust)。
最初は軽い気持ちで「自分は大丈夫」と思い込んでいても、薬物によって得られる快感や高揚感、あるいは成績の向上などの効果が褒美になるという学習(オペラント条件付け)をしてしまうと、褒美を得るために薬物摂取という行動は繰り返されてしまうという事実を自覚しておかねばなりません。
そして、乱用や依存とその結果は他人に起こることではなく自分に起こることとして強く胸に刻んでください。
以下はNBCニュースにあるMultnomah County Sheriff's Officeの反薬物乱用運動のための画像です。




参考:
Drugs, Society, and Human Behavior, Carl Hart et al. 2009


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