こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

Motivation モチベーション

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"motivation" とは、心理学用語としては「動機づけ」とされます。『食べる』という特定の行為を起こすにも "motivation" が働きます。それに対して「動機づけ」とは少し変てこりんな感じはするのですが。
何しろ、心理学での "motivation" とは特定の行動を起こしたり継続したりに足りる心(脳)の作動および原動力のことを言います。
ここでは、そんな motivation についてを見ていくことにします。追随するトピックは各リンクをご参照ください。


Drive Reduction Theory - 動因低減説
『食べる』の他、『眠る』『排泄する』『とげを抜く』などの行動では欲求を軽減し安定した生理状態を保つということが motivation となっている、とするのが drive* reduction theory of motivation です。つまり、身体が身体自体の均衡を保ち続けようとするホメオスタシス(homeostasis)の仕組みを軸とします。
欲求を軽減するという言い方は混乱を招きがちなのですが、欲求の根源にあるものがストレスに通じているので、ストレスごと減らすというイメージにすると理解しやすいかと思います。
例えてみることにしましょう。身体にとって要らなくなった排泄物をそのままにして、それでも痛みも不快感もなければ種々の害が発生し、結果として安定した生理状態が保てなくなります。このため、痛みや不快感を感じることは健康維持強いては生命維持に必要なストレスであり、これを取り除きたい欲が行動を起こす原動力となります。
*"drive" とは車の運転のことではなく、駆り立てまたは衝動という意になります。生理的な衝動はホルモンの働きが重要になってきます。既に説明があるものでは以下のページをご参照ください。
  • ストレスそのもののメカニズム → Stress:ストレスのページ
  • 食欲 → Eating Behavior:食性のページ
  • この他ホルモンに関連する記事は、ホルモンのトピックで上げてあります。


    Intrinsic and Extrinsic Motivation - 内因性と外因性
    上とは別に、例えば「信くんが政治学を猛烈に勉強する」などの場合、何がそうさせているのかしらということが問われます。この行動の motivation の要素として、知りたいという好奇心や、かっこいいと思う気持ちや、テストで点を取るためという目標や、皆がやっているからというプレッシャーなどなど、いろいろ考えられるわけです。あるいは別の例で、山林清掃のボランティアに参加するのであれば、自然を大切しなければという信念が、もしくは社会献身に大きな価値を感じることがその個人の motivation となっているのかもしれません。
    他人のそれに共感するしないに関わらず、このように様々な motivation は個人の性格が素となっていると考える学者もいれば、環境や状況がそうさせるにすぎないと考える学者もいるわけですが、必ずしもどちらか一方だけということではありませんね。ただし、motivation のやってくる方向は分けてみようということになっていて、 興味や好奇心など、個人の内側から生まれるものを internal motivation(内因性動機づけ)とし、これとは逆に、報酬・社会的プレッシャー・罰などに動かされるものを external motivation(外因性動機づけ)とします。


    Approaches to Motivation - 各見解
    • Behavioral Approach
    • 行動主義(behaviorism)は、operant conditioning(オペラント条件付け)の説を使って個人の motivation を説明します。端的に言うと、motivation は過去にその行動起こすことで何らかの褒美がもらえたのでまたそれを行うことになるという考え方です。
      例えば、10歳の子供が皮肉なジョークを口にしたら大人が大笑いして「頭いいな!」と褒めてくれたことを経験し、褒めの言葉に味をしめ皮肉なジョークをまたやっちゃおうという気持ちになるというようなことです。
      このように、行動心理学は motivation の外因性を主張します。ターゲットとなる行動の頻度を上げるためにはオペラント条件付けは効果がありますが、上の信くんが政治学を好き好んで学ぶことはクイズ番組で賞金を稼ぐためとかいうことではなく、何しろ知識欲が止まらないからということもあるわけですので、行動主義の見解には「内因性を軽視してはいけないよ」という批判はついて回ります。
    • Humanistic Approach
    • ヒューマ二スティックアプローチでは個人は自己の能力の向上・自尊心の向上を目指して行動を起こすのであるという motivation の見方であり、Maslow氏の欲求段階説に沿ってmotivation の内因性を重視します。欲求段階説の中身については既に上がっているのでご参照ください。
      → 人間の欲求段階
    • Cognitive Approach
    • 認知心理のアプローチでは、行動主義の主張する単に過去に褒められた怒られたのような経験が個人の特定の行動を決めるのではなく、『思考』が何より先なのだという見方をします。

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