こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

文化による考え方の違い

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誰かとテレビを見ているとき、あるいは旅に出かけたとき、「そこか!?」という思いを湧かせる相手の場合もなきにしもあらずですが、大体のことは同じ視点で同じことに笑い感動しますね。それは認識から解釈そして把握を共有しているからです。
文化は事物の把握に影響しますので、違う国の人と一緒にこれらを経験するときズレがあったりします。映画館で日本人と外人の笑うタイミングが違うのは、字幕のせいでのタイムラップもありますが、愉快だと把握できる箇所が異なるためです。

育った文化によって物の認識の違いを明らかにしようとした研究(Liang-Hwang Chiu, 1972)では、アメリカ人グループと中国人グループに同じ絵を見せて注目する点を比べることが試されました。結果、アメリカ人は主要物体やカテゴリに注目するのに対し、中国人は物体と周辺との関係性に注目する傾向があるとされました。
この違いは、アメリカが個人が独立しているindependent culture、中国が人々がネットワークを形成して機能しているinterdependent cultureであることによるとされます。interdependent cultureは東アジア諸国には共通で、日本もこの文化を有します。

Nisbettの行った研究(2001)もまた同じ絵をアメリカ人と日本人に見せたものです。皆さんも試してみて下さい。どんなことが気になりますか。

Credit: University of Michigan

この絵でアメリカ人が最初に口にするのは大きい魚のこと、一方日本人が最初に口にするのは背景のことだった、という違いが報告されました。

アメリカ人が示したような反応は、一つ一つの個別部品に注目し情報を把握しようとする認知の仕方を行っているためです。この観点は analytic thinking(分析的思考)と言います。
日本人が示したような反応は、全体的なつながり(context)として情報を把握しようとする認知の仕方を行っているものであり、この観点を holistic thinking(包括的思考)と言います。
個を見る、全体を見るというこの違いは人間関係の形態と通じており、個人主義社会と集団主義社会はそのままその文化下にいる人間の観点の癖付けを行っているものと考えることができます。
スキーマ形成を経て、見えてくるものを捉えるのに慣れ親しんだ様式で行い、事物の把握になるべくエネルギーを使わないように学習していくのです。

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2014年6月30日発行の社会的認知より独立・編集したものです。

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