こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

Learning 学習

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私たちはどのようにして特定の行動をするようになるのか・・・。その説明のひとつが『学習(learning)』です。
Learningの定義が机で行うような「勉強」と混同や誤解がされやすいですが、心理学では "learning = 学習 = 経験からの情報習得 = 行動の習得"、といった意味で使われます。
尚、もう一つ明確にしておくと、心理学で言う『行動』とは英語での "action" のことを指すのではなく、"behavior" という言葉で表され、思考や感情を含む全ての行いのことを言います。behaviorのうち学習によって得た行動は他のものと分けて、"learned behavior"と呼ばれます。

ここらへんの区別をはっきりしておきます。
"Learning" とは、行動におけるほぼ永久的な変化とし、他の要素には属さないものを言います。他の要素とはすなわち以下となります。
  • instinct [本能] --- 鳥が巣を作るなど
  • maturation [成熟] --- 身体の成長により速く走れるようになるなど
  • fatigue [疲労] --- 金槌を振る腕が疲れて休むなど
  • motivation [動機] --- 高得点ゲットのためにボタンを押しまくるなど
  • drugs [薬] --- コーヒーを飲んで集中力が上がるなど
また、learningは三つの基本的なタイプに分けられます。
  1. habituation and sensitization [馴化と鋭敏化]
  2. classical (Pavlovian) conditioning [古典的条件付け]
  3. operant (instrumental) conditioning [オペラント条件付け]


Habituation & Sensitization  - 馴化と鋭敏化 -
habituationの方は、刺激が繰り返されることによって反応の大きさが減少することを言います。いわゆる「慣れ」ですね。これは、繰り返しの刺激に反応する力も無くなってしまった・・・という疲労からくるものではありません。 habituationは、単に感覚器官が刺激に慣れてしまう場合(sensory adaptation:感覚順応)に起こったり、注意や意識がそれたりすることで起こります。
松本人志さんが、
とつぶやいていておられたのですが、これがまさにhabituationが起こっていた現場です。
habituationという形の学習は、重要でない刺激を仕分けして無視する、省エネのために必要な機能となります。

sensitizationの方は、ある刺激を経験した結果、他の刺激にも反応の度合いを上げてしまうことを言います。
より敏感になってしまうことですので、親に大きな声できつく叱られた子供は、Tシャツのタグが飛び出ていたのを直そうとした親のそっとした首根っこへのタッチにすらビクッとなってしまうような行動などが例です。

これらの神経基盤におけるメカニズムの活動電位やらの説明は省くことにします。調べる場合は、Aplysia carfornica(ジャンボアメフラシ)という生物を使っての実験が鉄板です。


Classical Conditioning  - 古典的条件付け -
こんな風に学習するんじゃないかしら?と1927年に実験を行った人はロシアの生理学者、Ivan Pavlovでした。日本語では俗に『パブロフの犬』という言葉で条件反射を表すのに使われることがあります。そのパブロフはこのPavlovです。



学習の工程
1は何の条件も足されていない、餌というunconditioned stimulus [無条件刺激]刺激(stimulus)を受けてよだれが出るという0unconditioned response [無条件反応]反応(response)で、犬なら当たり前の本能行動です。
2ではベルを鳴らしますが、これは餌のような反応を見せるわけではない、犬にとってはneutral stimulus [中性刺激]どうでもいい刺激です。従ってよだれが出ることもありません。
3ではベルを鳴らした直後に餌を与えるようにします。餌という刺激に対してよだれが反応として出ます。
4ではベルを鳴らしただけですが、ベルの後には餌が来るということを3で学習したため、conditioned stimulus [条件刺激]ベルの音という刺激に餌がなくてもよだれというconditioned response [条件反応]反応が出ます。

3で学習が試みられていることになります。学習に成功すると、4のように条件反射が可能になるわけです。


Operant Conditioning  - オペラント条件付け -
まずは、Thorndike氏が law of effect を発表しました。これは良い結果をもたらす行為は繰り返される傾向に、悪い結果をもたらす行為は避けられる傾向にあるようだという説です。このアイデアを引き継いだSkinner氏は、結果によって行為が管理できるとし、オペラント条件付けを編み出します。

行為の繰り返し傾向が上がるように導いた刺激を reinforcer(強化刺激) とし、一連の工程は reinforcement(強化)によって形作られた行動となります。
強化にはpositiveとnegativeがあります。例えにすると、positive reinforcement の方では褒美(強化刺激)が与えられることによってクイズに正解する努力が増加するなどです。negative reinforcement の方では時間制限の撤廃(強化刺激)によって食べ放題参加者が増加するなどとなります。

これに対し、行為の繰り返し傾向が下がるように導いた刺激を punisher(嫌悪刺激)とし、一連の工程は punishment(弱化)によって形作られた行動となります。
弱化にもpositiveとnegativeがあります。positive punishment では躾の説教(嫌悪刺激)を行うことで忘れ物をするという行為が減少するなどです。negative punishment では、おやつをお預けにすること(嫌悪刺激)でゲームばかりという行為が減少するなどとなります。

これらはオペラント条件付けの基本でしかありませんので、更に詳しい中身は行動主義心理学に特化した書物およびサイトをご利用ください。当サイトではポストの方で説明の必要性が出来たときに改めて記載いたします。


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