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こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

心理学ダイエット戦略

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体重を減らす目的でのダイエットで、ただひたすら食べることを我慢するのでは脳が悲鳴を上げます。エネルギーを失った精神と体は、脳の悲鳴を合図に食糧への渇望というストレスを取り除く行動に出ます。禁じていたはずのものを摂取することで罪悪感が襲います。とは、月並みのサイクルです。
日本はそんなに心配することはないと思いますが、アメリカでは全大人人口の3分の2以上が体重多目(overweight)か肥満(obese)であり、肥満からくる種々の病が危惧され、上のループの解決策を栄養学と心理学が手を組んで研究しています。肥満以外にも摂食障害などの問題解決に適応されます。
研究結果が示唆していることは、減量に必要なのが我慢比べなのではなくプログラムとして取り組む計画性及び効率性だということです。
社会心理学、認知心理学、脳科学など複数分野に渡って提唱されているものをまとめてみます。
  • 刺激から身を守る
    おなかが究極にすいていなくても、外的刺激があるとそれを合図に脳が食べる準備を行います。インスリンを出して血糖値を下げてしまうのです。
    第一には食べ物の番組に目を晒さないこと。特に夜遅くは強大な危険因子となります。
    第二には実物の位置収納管理が大事です。 食べ物がすぐ目に入る所にあれば、刺激された脳は余計な我慢を強いられてしまいます。戸棚を整理するなどして食べ物を目の届く所から離し、視覚や嗅覚が刺激されるのを避けましょう。隠れた所に入っているのが気になって仕方がなくなることもよくあります。その対処はすぐ下の書き出し作業が効きます。
    また、定期的食事時間も脳が「そろそろ食べる時間」という学習をします。これは、静かなるすきっ腹目覚まし時計のアラームと同じことですので食べる期待を起こし上と同じ準備を始めます。これを考えると会社での皆同時に昼休憩という制度は取り除かれる方が理想ですが・・・。
  • つらさを書き出す
    食べ物に限ったことではなありませんが、私たちは思い出したくないものに蓋をしようとします(thought suppression)。ダイエット中であれば「ラーメンのことは考えないようにしよう!」とか。しかし、脳は「何のことを忘れることにしたのだっけ?」と忘れる事柄の確認作業をしてしまいます。忘れようとすればするほどに思い出しの作業を行っていることになる(ironic process theory)ので、忘れたいことは敢えてノートに書き出してしまうと念が固執しないとされます。
  • 二つ同時に我慢しない
    自制の力の量は限られており、二つのことは同時に我慢出来ないとされています(self-regulatory resource model)。例えば、受験でゲームや友達との時間を持てないことに自制を働かせていたりする間にダイエットが加わると、どちらかはコントロールの力が行き届かなくなったりします。他に我慢があると失敗の可能性を大きくしてしまうので、ダイエットは自制を必要とするような問題・課題を抱えていないときに始めましょう。
  • 甘いものを摂る場合の注意
    我慢をしすぎると無理が祟ってやけ食いしてしまう恐れがあります。追い詰めすぎず甘いものを適度に摂る場合は、温かいものを選びましょう。温かいものと冷たいものでは、温かい方が甘味が強く感知されます(温かい方が甘い訳参照)。このため同じ甘さでも少ない糖の量で済みます。例えば、チョコレートアイスならばホットココアの方が脂肪分も下回ります。
  • 神経伝達物質を知る
    暇な時間を減らしましょう。暇だと食べる行為に走りがちなのは食べることで幸福感が得られるからで、この時脳は、セロトニンドーパミンで溢れます。
    たんぱく質と炭水化物摂取によってセロトニンが機能すれば、どんよりした気分から脱します。カロリーの高い食事(特に糖分と脂質のセット)ではドーパミンが脳を気持ち良くさせます。これらのことを意識していつも食事をする私たちではありませんが、脳はしっかりと認識しており、脳の欲求に従って行動しているわけなのです。
    ドーパミンは恋愛の他、新しいこととの出会いでも放出されますのでそれらの機会を増やすようにしましょう。セロトニンの増やし方については別ページで説明します。→ セロトニンとは
  • 食事に集中する
    何かをしながらの食事は避けるようにしましょう。認知心理学からのアプローチですが、注意が分配されると、食べる・味わう・目で楽しむなどの行為への意識が薄らいでしまい、「食事をしっかり取った」という認識を欠いてしまいがちになります。すると満足感に欠け、食べ足りない気持ちになったり、食後またすぐに食べ物のことばかり考えてしまうようになります。テレビやパソコンは消して、時間を掛けながら食事を全身で楽しみましょう。
  • リバウンドの避け方
    人間の身体はずっと慣れてきた体重を維持しようとするため、減っても増えてもまた元通りになる仕組みになっています(set point theory)。そのため、減らした後の体重を維持し続けてそれがスタンダードになるまでは、食生活や運動に気を使いっぱなしになります。この "気を使いっぱなし" が "苦ではない" というライフスタイルに変わるよう、減量プログラムは無理になり過ぎず長く行えるものを選びましょう。
  • ダイエット法を見極める
    最近では多くの医師がダイエット本を出していますが、医師が書くものとて鵜呑みにするのは注意が必要です。
    例えば、高たんぱく質低炭水化物のダイエット。脳はエネルギーを貯めておくことができないため、常にエネルギー供給を必要とします。脳のエネルギー源は主に炭水化物のグルコース(glucose)しか使われることができません。よって、高たんぱく質低炭水化物ダイエットは、脳には危険です。
    また、炭水化物の摂取量不足は、低血糖症としてめまい・寒気・頭痛・吐き気などを起こす他、ケトーシス(ketosis)という新陳代謝異常(これは腎臓結石・腎臓疾患を起こす素)を招くこともあり、息が臭くなるなどの症状も見せます。
    炭水化物から一日最低でも500kcal(ご飯3杯分)は摂取しましょう。
    更に炭水化物は、L-tryptophanという、主に動物性たんぱく質に多く含まれるアミノ酸を脳へ促す役目があります。このL-tryptophanはセロトニン生成に必要なものです。ということは、炭水化物なしでは脳内のセロトニン量が少なくなり、結果、上で説明したように気分がどんよりします。
    特定の食品成分や摂取の仕方が身体にどんな影響を与えるかという研究は盛んに行われており、情報が更新されていきます。食事制限による減量は、栄養の専門家が最新の科学的情報を用いて紹介するものを参考にすることをおすすめします。

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