こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

認知心理学:注意力

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私たちが注意を払わない情報、例えば昼に行ったレストランで流れていた当たり障りのないバックグラウンドミュージックや、すれ違った人の眼鏡フレームの色などは、思い出してくださいと言われても難しいものです。
こういった話は普段の日本語では『意識する』という表現で使われることも多いですが、認知心理学では『注意を払う』『注意力』という能力のことになります。

感覚器官を通して刺激となるものは全て情報です。受動的に情報を受けるのではなく能動的に情報を受ける、つまり注意を払うには以下の二つの種類があります。
1.選択的注意(selective attention)
2.分割的注意(divided attention)

1.
選択的注意は "選択" というくらいですので、いろいろある情報から特定のものを選んで把握しようとする注意力のことを言います。
人が沢山いて周りはガヤガヤしており、しかも自分は誰かと会話中などという時でも自分の名前だけはどこからか急に呼ばれても気が付く、ということはよく起こります。これも選択的注意の一つで、これは特に"cocktail party effect"(カクテルパーティー効果)と呼ばれます。左右の耳でそれぞれ違うことを聞き取る(dichotic listening)聴覚選択的注意となります。
これに対し視覚選択的注意は、視界にあるもののうちどれかに焦点を絞るものです。
目がとらえる情報を選択することによって起こる現象は次のページでサンプルテストを載せることにします。

2.
分割的注意は二つ以上のことに同時に払う注意のことを言います。
その行為は "multitasking"(マルチ/マルタイタスキング)と呼ばれ、複数事項を同時進行するという基本的には難しい技ですが、経験を積むとより速く正確に複数の事を処理することができるようになります。
男女差で言うと、女性の方がこの能力に長けています。この能力における脳の仕組みについては、生物学的男女の違い - 脳と遺伝子をご参照ください。


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