こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

大人のADHD/ADD タイプ・原因・治療

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ADHDは7歳より前に発症するものとされます。大人の場合は専門家に赴かなかったりして診断が遅れたためであり、症状自体は子供の頃より見られていたものとします。
症状によって三つにタイプ分けがなされます。

多動優勢型(predominantly hyperactive)・・・衝動的、注意力の散漫、自制の欠如、身体が落ち着かない、などが主な症状。社会的な特徴では仲間から拒否されやすく、事故によるけが多いことなどがあげられます。

不注意優勢型(predominantly inattentive)・・・注意力維持の困難、細かいことへの不注意、作業完了の困難、などが主な症状。社会からは「だらしない」とか「空想家」と言われることが多く、症状は学業成績に最も強く影響を与えてしまいます。

混合型(combined type)・・・①と②の症状が混在。患者人口のうち最も多いのがこのタイプです。

ADHD/ADDの原因について全容は明らかにされていませんが、遺伝が関係していることは確かだとされています。妊娠中の母親の飲酒も原因の可能性があるとされています。ずっと疑われてきたお菓子に含まれる砂糖が多動を起こさせるという説ですが、これは単なる都市伝説であることが科学的研究により明らかにされました。食品に含まれる特定の添加物・化学物質にも疑いがかかっていますが、アメリカ食品管理局FDAはこれを強く否定しているところです。着色料については原因とはできないものの、既に発症している患者において症状が悪化するケースが報告されています(WebMD)。

ADHD/ADDは根治が不可能な障害で、お薬や加齢によって症状が消えてなくなるものではありません。現在のところ、治療は薬剤と行動マネージメントによるものがメインとされ、脳内のドーパミン不足を薬で増やすことで集中力を高めることを試みます。しかし、この薬剤(メチルフェニデート)はすなわち興奮剤で麻薬にも使われることから乱用が懸念されています。アメリカでは大学生が睡眠時間を取り払って一夜漬け学習と当日の試験に挑むのに使われることがあり、通称"smart drug"と呼ばれ問題になっています。日本においては販売禁止になったようですね。この他、Adderall、Wellbutrin(bupropion)等、症状に合わせて処方されます。

ADHD/ADD患者の全てが常に落ち着きないとは限りません。興味が十分な刺激となれば、高い集中力を示します。しかし、その集中が続かないことが症状であるため、始めたことが中途半端で終わってしまうという傾向を招きます。この傾向は双極性障害にも見られるものなので、混同せず医者の正しい診断と薬の処方が大切です。

また、物事を最後までやり遂げることが難しいと、それを劣等感を抱える人も多いです。深刻な場合は鬱を同時に患う個人も少なくありません。 症状が単なる怠け者の特徴として取られる社会傾向がありますので、本人がADHD/ADDを自覚してなかったり家族の理解がないと大変辛いことになります。
7歳までには発症していますので、早いうちに親が症状に気付き、障害との付き合い方を学ばせていくことで日常での問題が軽減され得ます。しかし、「大きくなればよくなる」「うちの子に限って」「私もそんなだったのでこれは普通(親もADD/ADHDを持っているが自覚はない)」といった観念により、専門家に赴くことが阻まれてしまうということがよくあります。
パートナーは「患者にはハンディキャップがあるのだ」ということを自覚しないと、人並みの行動を期待しても叶わないためストレスを溜めてしまうばかりになります。障害を持つ本人がまず自覚することが大事で、二人三脚の精神でパートナーがサポートするという体制で関係が保たれているようです。

1は兆候や症状
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