私たちと違う人種の白人や黒人は皆同じ顔に見えたりしませんか?あるいは自分よりずっと年下の若者たちの見分けがつかなかったり。
これは"own race bias"と呼ばれる、自分と同じ種類でないものの認識がしにくいために起こる偏見の一種によるものです。
自分と同じ括りの人間の集まりを"in-group"、それ以外の集まりを"out-group"と言うのですが、in-groupメンバーでは個人個人の識別が容易にできます。
私たち日本人を、同じ極東アジア人の韓国人、中国人と共にひとつのin-groupメンバーとしたとき、微妙な違いを認識して、あなたは韓国人、あなたは中国人と見分けることができます。ところが、アジア人に馴染みのないアメリカ白人からすると、皆同じ顔だといいます。彼らにとってアジア人はout-groupだからです。
この現象を裏付ける実験が、SimonとLevin(1997)によってなされました。人間の認知能力を試す実験です。
そもそもこの実験は、先にあった他者の実験を受け、「change blindnessは静止画でなくても起こる」ということを立証させる目的でした。"change blindness"とは、目の前の情報の変化に気が付かないという認知(注意力)の特性のことを言います。
ビデオはSimonとLevinの実験を再現したものです。 実験者が通行人に話しかけます。そこに二人の間を一枚の板がさえぎって通ります。実験者は板の後ろに隠れていた人と摩り替わります。さっきまで会話をしていたのにも関わらず、通行人は人が摩り替わったことに気付くことができません。
今回のトピックとなる部分はビデオに含まれていませんが、SimonとLevinは、更に実験者の服装と年齢を変えて同じことを行いました。通行人が学生であった場合、話しかける実験者も学生くらいの年齢、学生のような服装にします。すると、摩り替えに気付く確率が上がりました。
これはつまり、in-group同士では個別認識がしやすいため、change blindnessが起こる率は低下する一方、out-groupのメンバーは識別がしにくく、皆同じ様に見えてしまうため、change blindnessが起きやすくなるという結論となりました。
歳を取ると若いアイドルや役者がどれも同じように見えたりするのも、自分の年齢層ではない若年層がout-groupになってしまった故の認識の難しさによるものです。また逆に、子供たちにとっておじちゃんやおばちゃんはout-groupの人たちであり、身近な付き合いのある親類以外では全員"ただのおじちゃんおばちゃん"となります。
いろんな国の平均顔は 平均顔がモテる訳
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