こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

心理学:ヒューリスティックと長年の勘

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2014年4月中に放送されたある番組で銭湯を訪ねた芸人さんが、地元の利用客に職業を聞きました。この方は飲食店600店舗を回る営業マン。これから向かうに一番のおススメ店を尋ねます。すると「重い」のがいいか「軽い」のがいいかを聞き返されます。芸人さんは「軽い」を選択すると、営業マンさんは3秒とかからないうちにお店の名前を教えてくれました。

このような、時間を掛けずに経験を基になされる判断(judgement)や決断(decision making)を"heuristic"といいます。上のような例では、日本語で俗に言う『長年の勘』と同じような意味ですが、外来語として""とカタカナが当てられています。
ヒューリスティックは生活の中でよく使うものです。家の中を切り盛りする女性では、「1年のうちの8月の電気代平均」と言えばおおよそ正しい額がさっと出てきます。
ヒューリスティックは噛み砕くと、自己の脳に蓄積された経験・知識・観念を使って行う判断への近道(mental shortcut)とされます。ということは、列記とした科学的情報を使ったり客観的事実を確認してからの判断ではないため、誤りが起こる危険もはらんでいることになります。ベテランがねじを確認せず付けて、飛行機が大変なことになったという事故もありました。

ヒューリスティックは以下のタイプに分けられます。
  • availability heuristic: 利用可能性ヒューリスティック・・・取り出しやすい記憶を優先的に用いて即座の意思決定に使うのもの。
    例1:時計を紛失してしまった。妻に言ったらどうなるか?これまでの経験で「私が失敗する=妻は怒る」というスキーマがある。妻に報告するかしないか決めるのに使うもの。
    例2:社員に企画を持ち寄らせた。一番優れたものを採用する。さてどれがいいか。そういえば、昨日テレビで「これからは"奇想天外"をテーマにしたものが流行りそう」と言っていた。最優秀企画を決めるのに使うもの。
  • representativeness heuristic: 代表性ヒューリスティック・・・似たようなものと比べて意思決定をするときに使うもの。
    例:飲み屋で隣の席に座っている男性は、東京についてあれこれマスターに質問しているので東京生まれではないようだが、一体どこからの人なのだろう?彼の話し口調を聞いていると、一音一音がはっきりしておらず、「き」の発音が「ち」のように聞こえる。ということは、東北から来た人に違いない。と、判断するときに使うもの。

判断には事物の認識および把握が根底に働いています。これはヒューリスティックの他、観念や観点などを要素にして社会的認知と呼ばれ、社会心理学で学習されます。

4は文化による考え方の違い
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