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こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

服装・変装の心理効果

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こちらは2013年7月発行分の記事に編集を加えたものです。
私たちが身に着けるものとは洋服だけでなく化粧やネイルアート、脱ぎ着はできませんがTatoo、施設の一員であれば制服や名札などの一式、仮装のためのドレスやきぐるみと仮面やペインティングなども含みます。
これらは人造物(artifacts)として何かしらのメッセージを送るもので、言語ではない非言語でのコミュニケーションを行います。
ここではメッセージ性とともに心理的な作用を一緒に、代表的なものを挙げることにします。

まずは制服にまつわるコミュニケーション機能から見てみます。
制服は組織の看板名を伝えます。例えば、佐川急便の制服などはシャツのロゴを確認しなくても職員であることがわかります。学校の制服も、入学の人気を左右するほどのトレードマーク的役割を果たしています。白い長い衣であれば医師や研究室の人員であるというプレートを掲げているのと同じことになります。

では、制服が及ぼす心理的な作用を見てみます。
一つ目は個性が消失されることです。
個性表現欲が芽生えてくる中学生・高校生にとっては、皆とおなじ服をまるっきり同じように身に着けることが不満になります。それゆえ校則の範囲内(中には校則を破るほどの表現力もありますが)で他の生徒と差をつける何かを工夫して、自分なりの着こなしを試みることになります。
個性の表現欲とは、進化学的なもので多様化の成功欲から来ます。交配で子孫を残す生物が持ちます。鳥が身体の色をそれぞれに美しくして交配相手を魅了しようとする不随意的行動と同じになります。

二つ目は同じ服を着た者同士では、別々の服を着る団体に比べて集団・団結意識が強まることです。個人は団体の代表としてという意識が着る人にもそれを見る人にも生まれますのでチームプレイが求められるところには最適となります。これらは権威が統率を図ることを容易にするという更なる効果を生みます。
三つ目は役割意識の向上です。特に団体意識の向上目的で支給されているわけではない制服、例えば白衣などはいい例ですが、着るとその役割に入り込むという心理です。この効果は下の変装の心理とも重なります。大げさに言えば、パジャマからスーツへの着替えも「仕事人」への変装です。日本人は特に社会的役割によって自己意識を変えますので(The Self:自己参照)、制服の役割意識を変える効果は個人主義文化より大きいと考えられます。
つい最近の研究では、着る物によって考え方も変えるのだということが発表されています(APA, 2015)。パジャマのまま仕事へ行かないのは正解です。クリエイティブ系の仕事では普段着であることが多くなっていますが、発想を自由にするというパフォーマンスを考えるとこのドレスコードは理に適っていると思います。

次に変装について。
変装とは自分の身を違う形へ変えるものです。簡易なものとしてはお面が挙げられます。
人はお面をつけると、顔そのものだけでなく、"自分"というものをマスクする効果があり、曝け出されている感を鈍らせます。言うなれば自分は違う人間になっていると感じるようなものです。
古い習わしなどでお面をつけて神楽を舞ったり、降霊的なことを行ったりする時にも、(土着宗教の習わしでは、キノコやサボテンなどの幻覚剤の効果を盛ることもありますが)違う自分になれることでいわゆる "トリップ" できるのかもしれません。
また自己のマスクは、人から注目を浴びても"自分でない自分"を見られているため緊張が和らげられるという効果があります。
お面に変わる変装の一番簡易的なものではサングラスが挙げられます。人の多い所に出るのが緊張して好きではない人はサングラスを気軽に着用してみて下さい。芸能人ではサングラスの着用頻度が上がりますが、変装目的の他、意外と緊張をなくすのに使っている人も多くおられます。

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