
症状など含めて全体像を見ていくことにします。
罹患率は全体人口の2.4%であり、男女比は1:1(NESARC, 2002)。幼少から見られる場合が多いが、青年期までは人格の成長変化が著しいため、診断は成人してからが通常である。
一時的な恐怖感などとは異なり、生涯を通して極度の恥ずかしさ・無能さ・拒否への敏感さを経験し続けるものである。これらが芯となり、他人との関わりや職業において機能不全を起こしてしまう。
現在のところ原因は明確にされいないが、遺伝的要因、環境や経験、もともとの性格などが相互的に関与しているであろうと言われている。
治療を行わないでいると、孤独な人生が続いてしまう他、物質(アルコールや薬物など)依存やうつなどの気分障害など異なる精神疾患に二次的にかかってしまいやすい。
- 意見を却下されることや、批判にひどく傷つく
- 自尊心(自己肯定感)が低く、能力不足感や無能感を抱いてしまう
- 人との関係でブレーキをかけてしまう
- 拒絶されることを考えるくらいなら一人でいることを選んでしまう
- 他人の拒否行為を研究してしまう
- 親しみのあるからかいでも自分を拒否しているのだと思ってしまう
- 対人を要する職に就くことが難しい
- 人と関わらなければならない活動を避けてしまう
恥ずかしがりや人見知り、あるいは他人からの批難や拒否などが日常生活に支障をきたしたり、辛すぎたりする場合は専門家を訪ねること。
診断は心理学的検査をもとに行われる。総合・一般病院の医師はこの障害について専門的に養成されているわけではないので、心理の専門家に見てもらうことが必要である。過去の経験なども含めて重度が測られる。
以下は精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)にある項目で4つ以上当てはまるかどうか診られる。
- 批判、非難、拒否を恐れるがゆえ、他人と接触の多い作業や活動を避ける。
- 好かれているのが確かでない限り他人との関係に入り込みたくない
- 辱められたり馬鹿にされたりを恐れるがゆえ、親しい関係でも自分を抑えてしまう
- 社会的状況で批判されたり拒否されたりすることに心配ばかりする
- 場に不適切な感じがするので新しい人間関係の場を避ける
- 自己を社会不適合者である、魅力がない、劣っているとみなしている
- 恥ずかしさのため、新しい事に手を付けることに気が進まない