こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

思い込みが本当になる仕組み

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思ったことが本当になること、年柄年中とまではいかなくても、結構あります。これは予知や勘が当たったとか、『引き寄せの法則』とか言われたりしますが、それは非科学的。科学では、思ったことが本当になる仕組みを"self-fulfilling prophecy"によるものとし、これは自分が的中するようにさせる予想・予言のことを言います。

もし私が、「次の桜花賞は、3-8で決まり!」と豪語する予想屋だったとします。本当に3番と8番が入賞するかは馬と騎手にかかっており、予想屋とて固唾をのんでレースを見守ることしかできません。3-8が来たのなら、予想を現実のものにしてくれたのは馬と騎手です。
これに対し、自分自身が実現する予想、具体的には、結果が自分の思考・動作によって導かれたものがself-fulfilling prophecyです。
大変よく起こりがちなことを例に、仕組みを理解します。
友達の紹介で、ある職に就きました。その職場ではKさんとシフトを共にします。友達にそれぞれ違った次の三つを告げられ働き始める情景を思い浮かべてください。

① 「頑張ってね」
② 「Kさんは意地悪だから気をつけてね」
③ 「Kさんはいい人なんだよ」

①は実験ではコントロールと呼ばれ、②③と比較するベースとして使われます。
②はまだ顔も見たこともないKさんについて、「意地悪」という人格を情報として与えられました。
③は②とは逆に、「いい人」という人格を情報として与えられました。

Image from HealthGuidance
①の場合、私はKさんも含めた一緒に働く人全員と自然に人間関係を築いていくことになります。
②の場合、私はKさんに「意地悪な人」という先入観を抱いて接し始めます。
Kさんに対する警戒心や嫌悪感を隠したとしても、人間の心は自分の意識しないところで非言語として現れます。そしてKさんはそれに反応し、「よそよそしい子だわ」などの印象を私に抱いて接します。親しみを表さないKさんの姿に、私は「なんか感じ悪い」と思い始めるようになり、お互いの感情と態度が反応し合った結果、「やっぱり意地悪なんだ」と思うに足りる関係になっていきます。Kさんは私にとって、最初に思った通りの人になったのです。
③の場合は友達からの言葉を基に、Kさんを信頼して接します。私の慕いにKさんは、「素直なよい子」と反応します。やはりお互いの態度は強化されていき、「Kさんはやっぱりいい人だった」となるのです。

Kさんは①②③のどの場合も全くの同一人物なのにも関わらず、自分の思い込みひとつで違う人格になりました。
ほらね、やっぱりそうだった」と予知したかのように思うことは、実は自分の気づかない態度で作られたもの --- これが"self-fulfilling prophecy"、ということでした。

尚、思い込んだことが身体の変化の面で本当になる仕組みは、信じると効く - プラシーボ効果で説明します。
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