
大切な誰かがいる人、人生が愛に溢れている人は、そうでない人より健康を保てているという研究結果は沢山ありますが、ここではDean Ormish(1999)が著書 Love and Survival Scientific Basis for Healing Power of Intimacy の中で挙げている例をいくつか紹介しておきます。
- 両親と深い愛情で結ばれていない大学生はそうである大学生に比べて後年、高血圧および心臓病を患う確率が著しく高い
- 孤独感を感じる女性はそうでない女性に比べ、乳がん・卵巣がん・子宮がんで死亡する確率が3.5倍高い
- 心疾患者のうち犬を飼っている者は飼っていない者に比べ、突然死になる確率が4倍低い など。
以上の内容は2012年7月発行のRomantic Relationship:恋愛関係のページから移動したものです。
この他、独り身の個人は配偶者がいる個人に比べ早死にする傾向が高くなるという研究結果は多く残されています。
生物学的な説明であれば、こららの愛は家族、配偶者、恋人、ペットとの触れ合いを通して絆を深め、分泌されるオキシトシンがストレスホルモン値を下げることにより健康保持につながっているのではないかと思われます(詳しくはオキシトシンとは参照)。
社会経済的説明では、自分以外にも自分の健康状態の変化に気付いてくれる存在があるため、食生活を含めるライフスタイルの安定性が得られたり、検診や治療を促されたりして健康が保たれるという見方もあります。
対象が動物であれば、面倒を見るという責任感が自己効力感(self-efficacy)を生み、つまるところの"気力"を起こし得るものと考えられます。
さて、
国立社会保障・人口問題研究所の調査の最新版は2015年に行われて集計がされている最中のはずですが、今あげられている2010年分では、
心と身体の健康のためには、交際相手・同棲相手・結婚相手がいた方がよいわけですが、
調査は『出生動向』が主旨であるため関係が男女間に限定されているのは今のところ仕方がないとしても、結婚・家族に関する意識の質問で「男らしさや女らしさは必要だ」という項目があります。男らしさや女らしさとは具体的に何を指しているのか、疑問に思いました。
「らしさ」とは男女で言えばジェンダーに基づくステレオタイピングに直結します。ステレオタイピングは型にはめることであり、それはすなわち自主性を奪う要素であることに気付かないとなりません。年齢によるステレオタイピングも同じことです。
個人同士を尊重し合って大切にすることが愛です。身体だけの健康に限らず精神的にも健康な愛を育てたいですね。