こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

説得力の心理学

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商売元と個人客というやりとり以外でも、他人を説得する力が要される場はあります。何かしらを決定するときのプレゼンテーション会議もそうですし、選挙活動も、宗教勧誘も、たわいもない巷の噂を信じるときも、私たちの中に「それいい!」という態度を起こさせるには、説得力というマジックが働いているのです。
では例えば誰か一人の意見を採用するという場なんかでは、私たちはどんな人の意見を最重要視するのでしょう。
もし、コンピューターが決断を下すのであれば、数字を使ってデータ上の最優秀意見を採用することでしょう。
しかし、社会心理学によると、人間の場合は自分の要素に加え、意見を発している人の要素に大きく左右されて決断を下すのだとされます。つまり、決断の基準を100%意見の中身に置いているのではないということです。
極端に例えれば、オバマ氏が大統領になる前の予備選挙の時点で、オバマ氏と全く同じことをドナルド・トランプが(実際には現在共和党から出馬中ですが)民主党から出馬して訴えていたとしても、ドナルド・トランプが大統領になっていたとは甚だあり得ないということです。

自己の「これがいい」という信念があったとて、こんなことたちが要素となると態度を変化させることになるという、説得においての研究結果を以下にまとめます。
2015, Feb. 24発行分旧・商売の説得術より移動
Yale Attitude Change Approach - persuasive communicationsの効率に関わる事項
説得に効果があるのは・・・
どんな人(The Source of the Communication)
  • 信頼がある人
  • 魅力的な人(容姿・性格)
どんな風に(The Nature of the Communication)
  • 自分(説得される側)に影響を及ぼす風にはあえて分からないメッセージの方が聞き入ってもらえる
  • 賛のみより賛否両論の方が効く
  • 相反する意見二つのスピーチでは、先攻・後攻どちらのスピーチの方が説得力を帯びるか場合により異なる。二つのスピーチの間がくっついていて、説得される者の決断までに時間がある場合はスピーチは先攻の方がよし。ひとつのスピーチ毎に直後の決断がある場合では後攻の方がよし(新近性効果)。
どんな相手(The Nature of the Audience)
  • communicationの間、気が散っている方が説得されやすい
  • 高い知能よりは低い知能の人、並びに低い高い自尊心の持ち主よりは中くらいの自尊心の持ち主にはより影響を植え付けやすい
  • 態度変化に敏感なのは18-25歳の人口-これより上の年齢では態度の固定度が上がり、変化に拒否を示しやすい
Aronson et al., Social Psychology 7Ed, P185

日本では総理大臣候補者を募ってテレビでディベートをやらせるなどということがないのですが、そんなのがあったら以上のようなことを観察して戦術や腕の良さを見極めるなんていう楽しみ方ができたのにな・・・なんて思ったりします。

1はセールスの心理学
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