
Self-Reference Effect (自己関連付け効果)
自分が絡んでいる事項はそうでないものより記憶しやすく、また思い出しも容易である傾向。Rosy Retrospection (楽観回想)
過去の経験や出来事を現在思い返し「良い思い出」と光沢を上塗りすること。Tip-of-the-tongue Phenomenon (舌先現象)
英語では「舌の先」、日本語だと「喉もと」まで出掛かっているのに出てこない現象。Serial Position Effect (系列位置効果)
一連の流れのうち、最初と最後に出てくる(目にする)ものは記憶に残りやすいという効果。
人の何した・どこへ行ったなどの話は忘れてしまっても、自分のは覚えていられます。理由は「人のことはどうでもいいから」と言えばそれまでですが、自己の経験の記憶は危機回避やアイデンティティー確保など、生存につなげる必要性からと考えられます。
例えば、初恋。当時は胸が苦しかったのに、今思うとほんのり甘く色付けされます。良いことばかりが強調されるのです。
過去を微笑ましく捉えることは成熟した大人を感じさせるのですが、rosy retrospectionは危険もあるとされます。HolmbergとHolmesが新婚373組を調査した結果、婚姻から二年すると「あの頃は良かった」というrosy retrospectionが見られました(1985)。これによりHolmbergは、現在に幸福感を持てなくなるのではと指摘します。この指摘は過去を重んじる "過去文化" を有する日本人にはそう心配はいらないかも? しかしながら、今という現実より過去がぽんわりばら色になるということは、『逃がした魚は大きい』と感じるのはrosy retrospectionの産物なのかもしれません。
思い出そうとするほどに違う似たような言葉が浮かんできて、全くそのことを考えなくなった頃、急にポンっと出てきたりします。
舌先現象は記憶の引き出し能力と同時に脳の言語野の活動も関係しています。原因は諸説ありますが、カフェインで舌先現象が増えたという研究結果もあります(American Psychological Association)。
リストに書いてある項目などはもちろん、コンテストや面接などでも最初の人と最後の人が審査員の中に記憶を残しやすいことになります。
最初の方がインパクトを残す効果をprimacy effect(初頭効果)、最後及び最近の方がインパクトを残す効果をrecency effect(新近性効果)と言います。
尚、これらの効果のため、実験などで出題の順番によって結果が変わってくるという現象を招きます。ちゃんとした科学的な実験・研究はこのことを考慮して設計されます。