ところが...コラーゲンは食べたからといって、それがそのままお肌のコラーゲンになるのではありません。
コラーゲンはたんぱく質の一種で、口に入ると消化酵素によって身体に吸収される大きさのレベルであるアミノ酸に分解されます。そして、身体のあちこちで使われるのです。
コラーゲンに限らず全てのたんぱく質は最終的にはアミノ酸にまで分解され小腸から吸収され、全身の細胞の原料となります。
ではなぜこんなにも噂が常識化するに至ってしまったのか。3つほど心理学的な説明をあてることができます。
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プラシーボ効果(placebo effect)プラシーボ効果とは、本来は身体に何の影響も及ぼさない物質なのにも関わらず何かしらの反応を起こすものだと信じ込んでいるため、摂取したときに病理的・生理的・代謝的根拠なしに身体的変化を起こすことを言います。
コラーゲンが効くと信じて摂取したので肌のハリが増し、「本当に効いた」と確証を強くし、コラーゲン摂取の習慣は繰り返されていくことになります。
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スリーパー効果(sleeper effect)スリーパー効果とは、情報の出所や信憑性が確実でないほど、時間が経つにつれて民衆に広く拡散していくことを言います。
コラーゲンを食べると肌に効くという情報は誰が言い始めたのか?それがわからないからこそ、どんどんと広がることになったのです。事実って結構聞くと「なーんだ」で終わってしまうのですが、事実かどうかわからない方が想像膨らんで会話のネタになりやすいということはありますよね。
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単純接触効果(mere exposure effect)単純接触効果とは、ある特定のものを頻繁に目にすると、それに対るす好意が上がるというものです。
商売専門家たちが可能な限り売り出す『コラーゲン入り』商品に晒された民衆は、これらへの好意を上昇させて商品を手に取るようになります。"売れてます!"の表示はこれに輪を掛けます。
ダイエット商品を含む健康関連食品は、上の効果が働いて世に普及することが大変多いのですが、次から次へと新しいものが現れるため一時的な流行としてすたれていくものがほとんどです。だのに、コラーゲンは長いこと残りました。
皮膚科学・栄養学・心理学のプロがこれらの事実を把握しているのなら、メディアで取り上げられるはずなのに、誰も何も言わないということはやはり、食用コラーゲンは効果があるに違いないのではないかと思う人も多いかと思います。このからくりは商売政治的なことになりますが、コラーゲン製品は多くの大きい会社、またはそれらの関連会社が販売しているため、「食用コラーゲンは意味がない」と広報するのは自殺行為となりますので控えられることになります。
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