
ある科学者は、「私達の身体を作る細胞全ては生まれて死んでを繰り返しているため、1年前はおろか昨日と同じ自分でもない」と提案しました。 確かに、肌一つ取り上げても、皮膚細胞は一番下の皮下組織から生まれて一番上の表皮に押し上げられ、角質となって自分の身体を離れていくもので、常に変化をしています。その皮膚細胞の生まれてから死ぬまでの1サイクルは28日。肌の1細胞が7日目、14日目、28日目どの時点においても存在する場所と形を同じくしないように、私達も80年の間同じ形や思考を保ち続けているわけではないのです。
発達心理学はヒトの誕生から死までの一生を進めていく間に起こる、生物学的変化、心的変化、認知能力的変化についての事実を研究するものです。
- 生物学的変化・・・身体の機能における変化で、細胞レベルで研究されます
- 心的変化・・・年齢に伴って起こる心の成長および変化が研究されます
- 認知能力的変化・・・外界の情報処理能力や問題解決能力などの成長および変化が研究されます
心的変化については主にErik Erikson の発達段階説に沿って、認知的能力変化については Jean Piaget の発達段階説に沿ってヒトの成長を理解します。ここでは各段階の名前の紹介にとどめます。生物学的変化は各ポストで段階を経て説明いたします。
Development:成長と変化のページで大まかに説明します。
- 遺伝と環境
- 誕生まで
- 2歳まで
- 幼児初期(2-6歳)
- 幼児中期(6-12歳)
- 青年期(12-18歳)
- 成人初期(18-40歳)
- 成人中期/中年期(40-65)
- 成人後期/老年期(65歳以上)
Erik Eriksonは人間の発達段階に応じて心理的欲求と問題を提唱しました。
- Trust vs Mistrust(0-2才):保護者との関係で信頼を育てる。欠けると不信感を育てる。
- Autonomy vs Shame & Doubt(2-4才):一人でやることが叶うと自主性が育つ。叶わないと恥ずかしさと疑いを育てる。
- Initiative vs Guilt(4-5才):主導権を得る。あまりやりすぎると周りから干され、罪悪感を抱く。
- Industry vs Inferiority(5-12才):学校などでの取り組みに熱心になる。うまいこといかないと劣等感を育てる。
- Identity* vs Role Confusion(13-19才):アイデンティティーの確立に焦点が置かれる。自分を見つけられないと自己喪失感に襲われる。
- Intimacy vs Isolation(20-24/20-40才):人間関係が密になる。上手に関係が作れないと孤独感を味わう。
- Generativity vs Stagnation(25-64/40-64才):子育てなど、人に与える喜びを得る。それを欠くと人生に達成感を覚えることができない。
- Ego Integrity vs Despair(65-Death):人生を振り返り充実感を覚える。それがないと後悔や絶望感に苛まれる。
Jean Piagetは発達の段階と経験によって、認知(情報の取得・貯蓄・使用)力のパターンがどう変化していくのかをまとめました。細かく段階を分けるととても長くなりますので、ここではとりあえずメインの4段階を提示しておきます。
- sensorimotor stage(感覚運動)
- preoperational stage(前操作)
- concrete operational stage(具体的操作)
- formal operational stage(形式的操作)