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こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

認知的不協和:言ってる事とやってる事が違う時

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「言ってる事とやってる事が違うじゃん」
とは、他人に対してばかり思うことではありません。
痩せたいのに食べてしまうとか、嫌いな人と付き合うとかはよくあることで、感情と行動が一致する方が稀だったりします。
感情と行動の矛盾にばかり着目していれば、「自分はなんて意思が弱いのか」「自分は行動を結果にできない」と自己肯定感を低くしていきます。 そして自己否定を続け無能感の塊になってしまえば、鬱を患って行き辛くなってしまうでしょう。
一方大多数の人間は言う事とやる事が一貫していなくても坦々と生きます。それは無責任とか悪い意味のいい加減ということをわざわざ選択しているのではなく、自己自身の中で辻褄を合わせることで生きるために必要な自己肯定を保とうとする、進化学的理由に基づく(本能的)安定した肯定的な自己像を必要とする欲故の行為だと社会心理学はしています。

そもそも、
人は自己の物事に対する態度(思考・感情)とそれに取り組む行動が一致しない時に不快感・違和感・不安感が生まれ、これを認知的不協和(cognitive dissonance)と言います(Festinger, 1957)。
これらのストレス的感覚は誰しもにとって取り除きたい代物ですので、私たちは認知的不協和を軽減することを無意識のうちにでも行います。以下のうちどの方法かを取ります。
  1. 思考を行動に反映させ実行する
  2. 思考を書き換えて行動を正当化する
  3. 新しい思考を加えて行動を正当化する
認知的不協和の除去の試みは、ダイエット時や禁煙時にも行われるわけですが、人間関係を例にして上の三つを具体的に理解したいと思います。
心をズタボロにされる恋愛関係にいる彼と別れた方が良いという思考を抱えているのにも関わらず、交際を続けてしまうなどという状態の個人は、
  1. 思考に従ってすっぱりと関係を経つ
  2. ズタボロにされてなんかいないと思考を変更することで交際を続けることを正当化する
  3. 素敵な彼だからズタボロになる価値がある、ズタボロが一生続くわけではないから不安は要らない、などの見方(思考)をし交際を続けることを正当化する
のいずれかの方法で認知的不協和を取り除こうとする、というようなこととなります。
これは実際に経験がある人もいると思います。相談者が求めるのは認知的不協和という不快感の除去へのヘルプであり、彼と別れること自体についてのアドバイスではないのかもしれません。愚痴や被害を真剣に話したけど、すっかり元の鞘に戻って幸せ、ということはよくあります。
"正当化" という言葉は姑息な事のように聞こえるのですが、正当化によって自己の決断に自信を持ったり思考と行動の辻褄を合わせることは肯定的な自己像を作り上げるものであり、生き残りのための技の一つとして私たちが普段から使っている行為であるということです。 正当化が法廷の場などとともに連想されるような、自己の行動が間違っていないことを他人に分かってもらおうと口に出して言い訳として主張するということではないので注意してください。

認知的不協和を抱えている間は論理的思考を管轄する脳の部分がシャットダウンし、不協和が解決した状態では幸福感を産むよう感情の回路が活発化する(Westen, 2006)とのことです。
ということは、認知的不協和を起こすちょっとした悩みにぶち当たってもハッピーな出来事で自分を囲んでしまえば、解決した気持ちに成り得ますね(感情の発生についてはEmotion 情動・感情参照)。

認知的不協和は好ましくない行為を矯正するための教育の場にも応用されます。
また、物事への態度(思考・感情)を強める場合に、やはり自己にとって納得のいくものに固執する傾向にある私たちなので自己の態度をサポートする情報ばかり偏って集たりします。こちらは認証バイアスとして頑固の仕組みで説明します。

2は頑固の仕組み
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