こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

精神障害の理解

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多くの精神的疾患は遺伝性が関与しています。また、環境も大いに影響し、個人個人の育つ家庭環境及び培われる関係、その他経験などが発症につながります。その逆に環境の良さが素因遺伝子をカバーして発症を防げることも多くあります。

心理学は感情・思考を含む全ての行動を理解しようとする学問で、アプローチの仕方はそれぞれの専門で特徴があります。 これらは同じ心理学界でありながらトピックにより対立するときもありますが、異常行動に関しては各アプローチが尊重され、多方面からの説明及び管理が試されます。

生物学的アプローチ:異常行動を遺伝子の関与と脳の活動ないし機能の異常の面から研究し、治療には薬剤を用います。
サイコダイナミックアプローチ:幼少期の経験からのトラウマに焦点が当てられ、異常行動の原因として幼少期に抑圧された欲(fixation)や無意識(subconscious)を探ります。治療には自由連想法・夢解析・抵抗解析・転移などがあります。
行動心理アプローチ:異常行動は学習されたものであるとし、古典的条件づけ・オペラント条件付け・観察学習に着目します。
認知アプローチ:異常行動は個人の内観に原因の発生があると考えられ、個人それぞれの物事に対するschema: スキーマを調節することで行動につながる思考を矯正する治療が試されます。
社会文化アプローチ:人種・性別・経済力・性的指向などの要素が思考・行動に影響していることを慎重に捉えます。

歴史的流れから、精神障害は「頭がおかしい」という観念と結びついています(異常心理学:歩み参照)。
そのため、「自分は頭はおかしくない」→「自分は精神的障害などない」という認識が確立されますが、物事に集中することが極めて難しかったり、極度の緊張で人前恐怖になったり、神経質すぎに綺麗好きだったり、などの症状が仕事や人間関係に響くとは、ケアが施せる精神障害です。
精神障害は「頭がおかしい」のではなく、「日常生活に支障をきたす心の問題」のことなのです
生き辛さを我慢するのではなく、健康管理として他の疾患と同じように何てことなく処置をする姿勢は国全体に求められます。


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