こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

吊り橋効果

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Emotion:情動のページで言及した "two-factor theory" についてです。日本語では二因子理論とされます。
Stanley Schachter は、私達は身体的興奮(physical arousal)を経験した後、何故身体がそのように反応するのか納得のいく理由を付け、自分の感情を理解しようとするのだと言いました(1964)。
SchachterとSingerのepinephrine(アドレナリン)を使った実験は妥当性を評価されませんでしたが、Donald DuttonとArthur Aronはtwo-factor theoryの実証に向けてに実験を行いました(1974)。
それはこんな風。

魅力的な若い女性が男性に『景色がどう創造性に影響するか』というニセのアンケートをお願いします。
女性は「この調査についてもっと知りたかったら電話を下さい」と告げます。
ぶらぶらする高いつり橋の上で行った場合と、つり橋を渡りきってからの場合を比べると、女性に電話の掛かってくる率が前者は後者の倍になりました。
男性はつり橋の上で身体的興奮(緊張状態)を経験し、そのドキドキする理由を女性へのときめきと取って、好意という感情を生んで電話をするに至ったのだという結論です。

身体的変化の理由は脳にとって、はっきりと区別がつかないのです。
生理的反応を先に認知してしまった時、そうなる理由を自分なりに納得できるよう付け加え、原因と結果を結び付けようとします。この時、身体的変化の本当の理由とは違うものを採用することは、学術的に "misattribution of arousal" と呼ばれます。日本では実験の内容を反映して、つり橋効果と呼ばれることがあるようです。

ドラマや映画などでの危機を共にした男女が恋に落ちるというシナリオも、このメカニズムが当てはめられ、あながちファンタジーではないのです。
しかしながら、男女でこの効果に違いがあるかどうか、同性愛者ではどうかなど更なる研究が重ねられる必要性はあるかと思います。

1はベン・フランクリン効果
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