人間同士、様々な要素がお互いを惹き付け、お付き合いが始まり続きます。ここではその逆である、関係の劣化を招き得る人間の思考傾向について、社会心理学で学習されるものをご紹介したいと思います。ここに挙げる以外の劣化原因と魅力についてはInterpersonal Relationships:人間関係のページをご参照ください。
人間関係では、相手の行動の理由や原因など全てを理解し尽くすことは不可能です。不確実性をどうしても取り除きたい欲を備えている私たちは、分からない部分を決め付けや思い込みというパズルピースで埋めようとします。
例えば、突然の義兄夫婦の訪問でカレーを作ることにした妻は、旦那にスーパーへカレー粉だけの買い物をお願いしました。おつまみその他は妻が家で用意を済ませ、あとはカレー粉だけを待ちます。ところが旦那の帰りが遅い。心配が渦巻く手前で旦那が帰宅します。 妻は、「何やってんのよ」と開口一番なじります。遅れたことは旦那に非があることが前提です(決め付け)。
この、『問題(遅れたこと)=旦那という人間が原因』とするような見方を"internal attribution"と言い、原因が恒常的な人間性にあるとします。
仮に、同じ旦那で違う嫁は、旦那が遅れて帰宅すると、「道でも混んでた?」と言いました。
『問題(遅れたこと)=想定外の条件が原因』とするような見方を"external attribution"と言い、原因は変動的な外的環境にあるとします。
本当に道が混んでいて遅れたのにも関わらず、「お前の人間性のせい」と先の妻がおかす間違いを、"fundamental attribution error"と言います。
fundamental attribution errorは、夫婦・親子・恋愛・友人・職場その他全ての人間関係を乱す素の一つとなります。だからこそ、人間行動の理解において状況を加味することは非常に大事です。
ちなみに、例に戻りますが、妻が夫と入れ替わって遅れて帰ってきた場合・・・どんなことが起きると思いますか?
さっきまでは、遅れる行動に「もたもたしてるからだ」としていた妻は、いざ自分が遅れる役になったなら、「道が混んでいたんだから、しょうがないでしょう!」と言い返すことでしょう。他人が取った行動の場合と自分が取った行動の場合の間で行動の説明を変えてしまう傾向が私たちにはあります。
これは"actor-observer difference"と呼ばれる、個人が主(actor:演じる人)か客(observer:見る人)かでの観点の違いとなります。
これらの傾向を意識して、相手を大切にしたいものですね。しかし、ここの例では、いきなり来た義兄夫婦がいけないので、彼らの失礼のために夫婦が喧嘩しては勿体ありません。妻が「義兄さんがいきなり来なけりゃ」と言うと、旦那は「やつらを責めてもしょうがない」などと言いがちで、喧嘩に発展しかねません。夫婦一緒に「ホント、あいつら迷惑だね」とできる夫婦は仲良しです。男のこういった傾向は男女コミュニケーションの違いで掘り下げます。
こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。
SPECIAL ISSUES
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科学になるための手順・心理学の分野サイトマップ -
生まれか育ちか
人間の行動が生得的に決まるか環境で決まるかの論議 -
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脳科学(心理生物学)の歩みと、学習内容の紹介 -
認知心理学
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人間間コミュニケーション
定義・人間間コミュニケーション・認識 -
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食べ物の選択・食欲・食事・満腹感・摂食障害 -
睡眠
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ストレス
研究範囲・ストレスの正体・段階・消化器官との関係 -
薬物使用
神経に働く薬の分類・薬物乱用と依存・リスクの理解 -
飲酒
適量の理解・血中濃度・二日酔い・酒のメリット