こちらのページは特集(Special Issues)の一つです。専門用語頻出による読み辛さにご注意下さい。

大麻・マリファナについて

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大麻所持の容疑で逮捕される日本の芸能人がワイドショーを賑わせています。厳しい管理がなされているはずなのにも関わらず、このレクリエーション用の大麻(マリファナ)は巷でも出回っているのでしょうか。
著者が初めて現物を見たのは、高校三年生の頃です。進学校の生徒であったにもかかわらず、お友達のY子ちゃんが使用していたのです。それから時は過ぎ、アメリカに移ると、若者に限らずヒッピー時代を経験した熟年もパイプを吸引しているではありませんか。
著者はマリファナを嗜みませんので、レクリエーション用については全く魅力も必要性も感じないのですが、医療用の用途に限っては安全に使えるものなら使ってもよいのではないかという立場です。
そこで、今回はマリファナを解剖してみたいと思います。

マリファナは麻(cannabis)から取れる調合品です。
アジアを原産とする麻には種類があり、cannabis sativaと呼ばれるものは、主に衣服や縄などの繊維としても使用されます。対してcannabis indicaは向神経薬として栽培されるものです。
神経に作用する(向神経)成分はカナビノイドで、この主成分はTHCと呼ばれます。THCの濃度は、植物のどの部分を使うかによって違いがあり、それが質の違いとなります。
樹脂からなるものはHashish、インドでcharaと呼ばれ、THC濃度は3-7%。受粉を行わないようにした雌株のつぼみからなるものはsinsemilla(種なしの意味)、インドではganjaと呼ばれ、THC濃度は7-12%。残りを使ったものはインドでbhangと呼ばれるもので、THC濃度は1%未満となっています。
参考:Drugs, Society & Human Behavior, Carl L. Hart et al., 2009


カナビノイドは肺から、または、食べ物として摂取した場合は胃から血中へ取り込まれていきます。成分THCは血の流れに乗り、脳まで運ばれると以下のような影響を及ぼします。
  • 判断を狂わせる
  • 反応時間を遅らせる
  • 身体の動きに影響がでる
  • 振舞いや気分に変化が出る
  • 脳内血流の低下
  • 学習、記憶、注意力の妨害
  • 統合失調症他の精神障害にかかる危険性を増加
  • 但し)以前までの研究では、カナビノイドは鬱、不安症、双極性障害、物質使用障害に関連しているとされていましたが、結果が繰り返されることがなく、新しい研究で気分障害や不安症との関連がないことが発表されています。同じ研究の結果では、マリファナはアルコールや薬物使用障害ならびにニコチン依存の危険性の増加に関連しているとしています(Medical News Today, 2016)。
    がんの発生については、肺がんとのつながりがあるとされており、青年男性において睾丸がんの危険を上げる可能性が報告されています。
    参考:WebMD


    医療目的としての効果
  • がん用化学療法による吐き気と嘔吐の緩和
  • 食欲の増進
  • 痛み止め
  • 炎症を抑える
  • 脳卒中の管理
  • 精神障害および中毒の治療
  • 尚、アルツハイマーにおける脳細胞の死滅をストップする効果も発表されました(Medical News Today)。


    マリファナはドラッグの中でも覚醒と鎮静にまたがる物質で特殊です。身体的依存はありませんが、依存度の高い薬物への登竜門となっていることが明らかにされています。飲酒もそうですが、身体に有益なものを有毒にするのは使用の仕方の理解が重要です。日本での医療用途合法化は必要なかったとしても、危険度を理解するためにも薬物についての教育は強化されるべきと考えます。
    この他ドラッグの説明は、薬物使用をご参照ください。
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